CABLINE®-CX II,UX II,UA II 千鳥配列コネクタにおける ピン配列及びPCB配線が与える信号品質影響について
はじめに
このホワイトペーパーでは、CABLINE®シリーズのコネクタ、特にレセプタクル端子が千鳥配列のコネクタCABLINE®-CX II、CABLINE®-UX II、CABLINE®-UA IIで発生するいくつかの信号品質課題を解決するために、ピン配列とPCB配線が与える信号品質(シグナルインテグリティ)に焦点を当て記述しています。
CABLINE®-CX II(0.25 mmピッチ)やCABLINE®-UA II(0.3 mm ピッチ)のように小型化する為にレセプタクル端子が千鳥配列されたコネクタは、信号速度(データレート)が高くなると、アプリケーションを作動させるのに十分な信号品質確保に対する難しさはさらに増していきます。
これらのコネクタは、高速アプリケーションにおける信号品質を確保するために、クロストーク、インピーダンスコントロール、リターンロス、挿入ロス、スキュー、EMI、寄生効果、チャンネルモデリング、材料特性、熱的・機械的要因を慎重に考慮する必要があります。
コネクタ情報
CABLINE®-CX II
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CABLINE®-CX II コネクタは、最大高さ0.78 mmの小型・低背アプリケーション向けに設計された高性能極細同軸水平嵌合タイプの細線同軸・Twinaxコネクタです。EMIシールドカバーオプションを備えており、接続信頼性向上のためのメカニカルロックが搭載されています。
水平嵌合タイプで0.25 mmワイヤピッチ、基板ピッチ(0.5 mm 0.25 mm 千鳥配列)に対応し、対応芯数は40芯となっております。嵌合高さはカバー無しで0.73 mm、カバー付きで1.0 mm、奥行きはカバー無しで5.21 mmカバー付きで5.60 mmとなります。
CABLINE®-CX II コネクタのリセプタクルは2列のコンタクトを持ち、同じ列内の各コンタクトの基板実装部のピッチは0.5 mmとなります。しかし、コネクタのプラグ側では、コンタクトはインラインになっており、嵌合部及びケーブル結線部のピッチは0.25 mmとなります。


CABLINE®-CX IIは、45 Ω(#44以下)および50 Ω(#46以下)の極細同軸ケーブルに対応。USB 3.2 Gen 1(5 Gbps)、V-By-One HS 1.4(4 Gbps)、HDMI 1.3(3.4 Gbps)などの高速データ転送規格に対応しており、コンパクトで信頼性の高い接続を必要とする機器、アプリケーションに適しています。
CABLINE®-UX II

CABLINE®-UX II コネクタは、高速データ転送とコンパクトなフォームファクターを必要とするアプリケーション向けに設計された高性能極細同軸コネクタです。0.25 mmピッチで、ライトアングル、垂直嵌合タイプの設計となっておりスペースに制約のある機器、アプリケーションに適しています。
このコネクタは、30芯から50芯まで対応しており、嵌合高さは1.04 mm±0.06で、薄型接続を実現します。
下記図6、7で示している通り、CABLINE®-UX II コネクタのリセプタクルは、CABLINE®-CX II と同様に、千鳥2列のコンタクトを持ち、同じ列内の各コンタクトの基板実装部のピッチは0.5 mmとなります。コネクタのプラグ側では、コンタクトはインラインになっており、嵌合部及びケーブル結線部のピッチは0.25 mmとなります。


CABLINE®-UX IIは、45 Ω極細同軸ケーブル(#44以下)や50 Ω極細同軸ケーブル(#46以下)を含む様々な信号ケーブルに対応しています。USB 3.2 Gen 1(5 Gbps)、HDMI 1.3(3.4 Gbps)、V-By-One HS 1.4(4 Gbps)などのインターフェースに対応し、さまざまな高速データアプリケーションに対応します。
CABLINE®-UX IIは、45 Ω極細同軸ケーブル(#44以下)や50 Ω極細同軸ケーブル(#46以下)を含む様々な信号ケーブルに対応しています。USB 3.2 Gen 1(5 Gbps)、HDMI 1.3(3.4 Gbps)、V-By-One HS 1.4(4 Gbps)などのインターフェースに対応し、さまざまな高速データアプリケーションに対応します。
CABLINE®-UA II

CABLINE®-UA IIコネクタは、0.3 mmピッチの高性能極細同軸コネクタで、ライトアングル、垂直嵌合タイプの設計となっておりスペースに制約のある環境に適しています。芯数は26芯から50芯まで対応し、様々な高密度が要求されるアプリケーションに対応します。
CABLINE®-UA II コネクタのリセプタクルは下記図9の示している通り、CABLINE®-UX IIと同様に千鳥2列のコンタクトを持ち、同じ列内の各コンタクトの基板実装部のピッチは0.6 mmとなります。コネクタのプラグ側では、コンタクトはインラインで、嵌合部及びケーブル結線部のピッチは0.30 mmとなります。


スリムなプラグと低背設計により、嵌合高さ1.27±0.1 mmを実現し、スペースが限られている機器に適しています。このコネクタは、45 Ω(#42以下)や50 Ω(#44以下)を含む様々な極細同軸ケーブルが適用しており、様々な高速データ転送をサポートします。
CABLINE®-UA IIは、USB 3.2 Gen 1(5 Gbps)、HDMI 1.3(3.4 Gbps)、V-By-One HS 1.4(4 Gbps)などのインターフェースに最適化されており、信頼性が高く効率的な接続性を必要とする最新の電子機器に汎用性を提供します。その設計は、安全な接続と高い保持力を保証し、家電製品、コンピューティング、その他の高速データ通信機器アプリケーションに最適です。
ピン配列とPCB配線
ここでは、CABLINE®-UA II、UX II、CX II コネクタの異なるピン配列とPCB配線に関する推奨事項を中心にシミュレーションデータを用いて説明します。ほとんどの高速アプリケーションでは差動信号が使用されるため、差動信号伝送に焦点を置いて記述しています。シミュレーションでは、基本的なマイクロストリップ配線を適用し、ビアインパッドなどの高度な配線技術は考慮されておりません。
I. 連続的GSSGピン配列

前述したように、CABLINE®-CX II、UA II、UX II は、リセプタクル側コンタクトは千鳥に配置されております。連続的GSSGピン配列は図 11の示してる様に、差動信号ペア内のグランドパッドと信号パッドが両方の列に配置され、GSSGの順で並んでいるピン配列のことを示します。差動信号ペアの+信号は一方の列にあり、差動信号ペアの−信号は他方の列にある状態となります。上記の場合、DP1 は DP1+ が 図内左側から見て2番目のピン、DP1- が3番目のピンになります。 同様に、DP2はDP2+ が5番目のピン、DP2- が6番目のピンとなります。1番目、4番目、7番目のピンたちはグランド用のピンとなります。
このピン配列のメリットは、コネクタのプラグケーブル側に現れます。プラグ側のコンタクトは図12の細線同軸ケーブル引き出し側に示されているように、GSSGの構成となります。このピン配列により、各差動ペア信号は、両側のグランドシグナル配線によって他の差動ペア信号から分離される状態を作り出すことができます。プラグ側ケーブルは一列で配線されており、ピンは左側からピン1、ピン2と右側へ順に並んでいます。

レセプタクル側は二列のパッドに信号ピン、DP+は一方の列に、DP-はもう一方の列にと非対称に配置されているため、この非対称性がスキューやモードコンバージョンの原因となります。
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図13、図14、図15は、CABLINE®-CX II、UX II、UA IIのシミュレーションセットアップをそれぞれ示しております。前述の通り連続的差動ペアでピン配列されています。差動ペアの配線引き出し方向も示されており、差動ペアはプラグからケーブルが引き出される方向に配線されています。一般的なシステムでは、差動ペアの行き先は共通であることが多いため、このシミュレーションでは、基板トレースを同じ方向に配線しています。
この条件でのシミュレーション結果を図16に示します。シミュレーションは、インサーションロス、リターンロス、近端クロストーク(NEXT)、遠端クロストーク(FEXT)という重要なパラメータに焦点を当てています。下記シミュレーション結果は、この構成における3つの異なるコネクタの性能を示します。
コネクタの定格はすべて5 Gbps(Nyquist:NRZ信号で2.5 GHz)ですが、以下のシミュレーションデータは10 GHzまで示しております。
これらのコネクタとピン配置のシミュレーションは、ANSYS® HFSS Electronics Desktop™を使用して実行され、これらのシミュレーションに使用されたポートインピーダンスは差動100 Ωとなります。



図 16 、図17、図18は、CABLINE®-UX II、CABLINE®-CX II、CABLINE®-UA II コネクタの信号品質(シグナルインテグリティ)、特にインサーションロス、リターンロス、クロストークを示します。波形を見ると、このピン配列のコネクタ性能は、インサーションロスとリターンロスの性能において比較的安定していることがわかります。CABLINE®-CX II は、他のコネクタと比較してインサーションロスがわずかに大きいですが、これはコネクタのデザイン固有の特性となります。
CABLINE®-UX IIとCABLINE®-UA IIのリターンロスは10 GHz付近まで-10 dB下回っており、特にUA IIコネクタは10 GHzまでより優れたリターンロスを示しています。これは、CABLINE®-UA IIが0.30 mmピッチのコネクタであることもあり、他の2つのコネクタに比べてリターンロスが良好と言うことを示しています。ここでのクロストーク性能とは、DP1上の信号がDP2の近端と遠端の両方にカップリングすることを指します。また本項で特に注目したいパラメータは近端クロストーク(NEXT)です。
一般的にクロストークの性能は動作周波数に対して-40 dB未満である事が理想的と言われます。これに基づくと、CABLINE®-UX IIは最大6 Gbps(Nyquist 3 Ghz)、CABLINE®-CX IIは最大10 Gbps(Nyquist 5 Ghz)、CABLINE®-UA IIは最大2 Gbps(Nyquist 1 Ghz)のデータ伝送に大きな問題なく対応できる可能性を示します。
II. 連続的SSSSピン配列 (グランドピン無し)

図19に示すように、このピン配列では、図内赤点線枠でグルーピングされている差動信号ペア間にグランドピンが存在せず差動信号ペアがそれぞれが分離されていません。このピン配列は、ピン密度が重要視されるアプリケーションでその高密度性がメリットとなりますが、このアプローチによる信号品質(シグナルインテグリティ)は先に記述された連続的GSSG配列よりも悪くなるため、性能と密度性間にてトレードオフが発生致します。
図19に示すように、差動信号ペアDP1はDP1+が1番ピン、DP1-が2番ピンとなり、同様にDP2はDP2+が3番ピン、DP2-が4番ピンとなります。 プラグ側は、図20に示すように左から順に1番目、2番目がDP1、3番目、4番目がDP2と右へ並んでいます。

このアプローチの基板配線は、先のケースと同様、ケーブルの引き出し方向に向かってマイクロ・ストリップ・トレースとして配線されます。先のケース及び本ケースともに差動信号ペア内のトレースの一方が他方より長くなるため、トレースの長さを合わせる必要があることに注意が必要です。また差動信号ペアを分離するグランドピンがないため、差動ペア間のクロストークが大きくなることにも注意が必要です。
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図21、図22、図23はCABLINE®-CX II、UX II、UA IIそれぞれのシミュレーションセットアップと連続的SSSSピン配列を示します。図内でわかるように、差動信号ペアの基板トレースはケーブルの引き出し方向と同じ方向に配線されています。
この条件でのシミュレーション結果を以下に示します。シミュレーションは、インサーションロス、リターンロス、近端クロストーク(NEXT)、遠端クロストーク(FEXT)という重要なパラメーターに焦点を当ております。下記シミュレーション結果は、この構成における3つの異なるコネクタの性能を示します。


図 24、図25、図26 に、CABLINE®-UX II、CABLINE®-CX II、CABLINE®-UA II コネクタの信号品質(シグナル インテグリティ)、特にインサーションロス、リターンロス、クロストークを示します。波形を見ると、このピン配列の CABLINE®-UX II と CABLINE®-UA II の性能は、最大周波数 10 GHz で最大インサーションロスが約 -1 dB であるのに対し、CABLINE®-CX II の最大インサーションロスは10 GHz 以下で 約-2 dB であることがわかります。
CABLINE®-UX IIとCABLINE®-UA IIのリターンロスは10 GHzまで-10 dB以下であり、UA IIコネクタは10 GHzまで優れたリターンロスを示し、先のピン配列と同傾向にあります。CABLINE®-CX IIは、周波数5 GHzで-10 dBと、他の2つのコネクタに比べてリターンロスがわずかに大きくなります。

ここでのクロストーク性能とは、DP1上の信号がDP2の近端と遠端の両方にカップリングすることを指します。
前述したように、グランドピンが信号ピンを分離していないこのピン配列では、差動信号ペア間のクロストークが大きくなる傾向にあります。シミュレーション結果ではCABLINE®-UX IIとCABLINE®-CX IIでは、1 GHz付近もしくは1 Ghz未満でNEXTが-40 dBを上回り、CABLINE®-UA IIでは2 GHzを少し超えた周波数の時点で-40dBを上回るのクロストークが確認されます。
したがって、このピン配列は、CABLINE®-UX II および CABLINE®-CX II はデータレートが2 Gbps を超えないアプリケーション、CABLINE®-UA II はデータレートが5 Gbps を超えないアプリケーションなど、使用範囲が限定されるつつも配線密度性が重要視されるものに対しては、その点でメリットを得られるものと言えます。
III. 同列GSSGピン配列、双方向PCB配線

このピン配列では、図27の示すように差動信号ペアのプラス信号とマイナス信号が2列に並んでいた先のピン配列とは対照的に、プラス信号とマイナス信号のピンが同じ列内で隣接している状態のピン配列となります。
DP1 のペアは3番目のピンが DP1+、5番目のピンが DP1-となり、DP2 の差動信号ペアは 4番目のピンが DP2+、6番目のピンが DP2-となります。また1番目、2番目、7番目、8番目 ピンはグランドピンとなるような配列になります。
このピン配列は、リセプタクル側では対称的なPCBトレース配線を確保するという点では理想的ですが、プラグ側のピン配列には注意が必要になります。プラグ側は1列でピンが並んでいますが、左側より1番ピンと順に並んでいる為、ケーブル側の構成は図28のようになります。
3番ピンはDP1+、4番ピンはDP2+であるため、DP1とDP2の差動信号が交互配置されることになり、信号品質(シグナルインテグリティ)に影響を与える可能性を考慮する必要があります。

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このケースのシミュレーションに使用した3 種類のコネクタのPCBトレース配線を上図に示します。CABLINE®-CX II、UX II、UA IIそれぞれのシミュレーションセットアップと、GSSGピンがどの様に配列されているのかを示しています。図29、図30、図31には、差動信号ペアのPCBトレースが両方向に出るように配線されていることを示しています。これは、トレースを分割し、対称的な配線であることを担保する最も簡易的な方法になります。
この条件でのシミュレーション結果を以下に示します。重要なパラメータであるインサーションロス、リターンロス、近端クロストーク(NEXT)、遠端クロストーク(FEXT)に焦点を当てたシミュレーションになります。下記シミュレーション結果は、この構成における3つの異なるコネクタの性能を示します。


図 32 、図33、図34に、CABLINE®-UX II、CABLINE®-CX II、CABLINE®-UA II コネクタの信号品質(シグナル インテグリティ)、特にこのピン配置でのインサーションロス、リターンロス、クロストークを示します。波形を見ると、このピン配置の CABLINE®-UX II および CABLINE®-UA II の性能は、最大周波数 10 GHz で最大インサーションロスが -0.75 dB であるのに対し、CABLINE®-CX II の最大インサーションロスは 10 GHz 以下で -1.5 dB 未満であることがわかります。
CABLINE®-UX II、CABLINE®-CX II、CABLINE®-UA IIのリターンロスは10 GHzまで-10 dB以下であり、特にUA IIコネクタは10 GHzまで優れたリターンロスを示します。

ここでのクロストーク性能とは、DP1上の信号がDP2の近端と遠端の両方にカップリングすることを指します。
この特定のピン配列では、CABLINE®-UX IIとCABLINE®-CX IIのクロストークは1 GHz以下で-40 dB未満ですが、CABLINE®-UA IIは5 GHzまで優れたクロストーク性能を示します。UX IIとCX IIでクロストークが大きいのは、端子ピッチが0.25 mmとUAIIの0.3 mm と比べ、小さいためです。
このピン配列はCABLINE®-UX IIとCABLINE®-CX IIに関しては主にデータレートが2 Gbps以下アプリケーション向けに使用することができ、CABLINE®- UA IIに関しては10 Gbpsまで大きな問題なく使用することができる可能性を示します。
ピン配置と配線違いでの性能比較
このセクションでは、先に説明した3つの提案ピン配置と配線について、各コネクターの信号品質(シグナルインテグリティ)比較を示します。
CABLINE®-UX II

図35に、前節で説明したピン配列と配線方法の違いによる CABLINE®-UX II のインサーションロス、リターンロス、クロストーク性能の比較を示します。
ピン配列 I はすべてのパラメー タ見た時に最もバランスの取れた優れた性能を示す結果となります。インサーションロスとリターンロスがピン配列III よりわずかに高い結果となりますが、クロストークの点では、ピン配列 I は他のピン配列・配線方式よりかなり優れていることを示します。
ピン配列 IIは、インサーションロスとリターンロスの点でピン配列Iと同等レベルの性能を示す結果となりますが、差動信号ペア間にグランドピンが無いため、クロストークはピン配列IIIと同等レベルの性能となります。
ピン配列IIIは、インサーションロスとリターンロスの点で最高の性能を示す結果となりますが、極細同軸ケーブルがプラグ側で隣接配線されているため、ピン配列Iよりも高いクロストークを示します。
CABLINE®-CX II

図36は、前節で説明したピン配列と配線方法の違いによるCABLINE®-CX IIのインサーションロス、リターンロス、クロストーク性能の比較を示します。
ピン配列 I はすべてのパラメー タ見た時に最もバランスの取れた優れた性能を示す結果となります。ピン配列Ⅰのインサーションロスとリターンロスがピン配列Ⅲよりわずかに高いですが、クロストークは他のピン配列・配線方式よりも大幅に優れている結果を示します。
ピン配列 IIは、インサーションロスとリターンロスの点でピン配列Iと同等レベルの性能を示す結果となりますが、差動信号ペア間にグランドピンが無いため、クロストークは前項のCABLINE®-UX IIでも見られたように、ピン配列IIIと同等レベルの性能を示します。
ピン配列IIIは、インサーションロスとリターンロスの点で最高の性能を示す結果となりますが、極細同軸ケーブルがプラグ側で隣接配線されているため、ピン配列Iよりも高いクロストークを示します。
CABLINE®-UA II

図 37 に、前節で説明したピン配列と配線方法の違いによる CABLINE®-UA II のインサーションロス、リターンロス、クロストーク性能の比較を示します。
ピン配列Ⅲは、インサーションロス、リターンロス、クロストークがピン配列ⅠとⅡを大幅に上回り、すべてのパラメー タにおいて最高の総合性能を示します。
ピン配列ⅠとⅡは、インサーションロス、リターンロス、クロストークの点で同様の性能を示す結果となります。CABLINE®-UA IIはピッチが比較的広い(0.3 mmピッチ)ため、ピン配列IIIがIやIIより優れた配列、配線方法となります。CABLINE®-UX IIやCABLINE®-CX IIに見られるようなピン配列Iにて最も優れた総合性能が確認されたことと対照的な結果を示します。
結論
本稿を要約すると、0.25 mmと0.30 mmピッチの2列千鳥配列コンタクトを使用するCABLINE®シリーズのコネクタ、特にCABLINE®-UX II、CABLINE®-CX II、CABLINE®-UA IIシリーズについて述べるものとします。
この文書では、差動信号伝送方式に焦点を当てながら、これらのコネクタのピン配列と配線方法の課題についてシミュレーション結果を元に述べられています。また、2列コネクタを使用する利点を最大化するために、信号品質(シグナルインテグリティ)とピン密度を考慮した3つの異なるアプローチを提案しています。
アプリケーションとそのデータレートに基づいてピン配列とPCB配線をデザインするのに役立つように、使用が予想されるアプローチのピン配列、配線にてシミュレーションを行いデータを示しています。
以下の表は、データレートとピン配列の比較、コネクタサイズ(ピン密度)を考慮するための寸法比較です。
|
ピン配列 I |
ピン配列II |
ピン配列III |
CABLINE®-UX II |
<=6 Gbps |
<=2 Gbps |
<=2 Gbps |
CABLINE®-CX II |
<=10 Gbps |
<=2 Gbps |
<=2 Gbps |
CABLINE®-UA II |
<=2 Gbps |
<=5 Gbps |
<=10 Gbps |
|
嵌合高さ |
横幅 |
奥行き |
CABLINE®-UX II |
1.04 mm |
14.10 mm |
2.40 mm |
CABLINE®-CX II* |
0.73 mm |
16.45 mm |
5.21 mm |
CABLINE®-UA II |
1.27 mm |
17.00 mm |
2.90 mm |
*CABLINE®-CX II の寸法は、EMIシールドカバーなしバージョンのコネクタのものを抜粋。
信号配線方式は本稿で提案するものに限定されません。コネクタ周りスペースの自由度や基板層構成、またどの性能を重要視するかで本稿に記載したピン配列や配線以外も検討頂く事ができます。
I-PEXは、アプリケーションが異なるピン配列や配線案を必要とする場合、シミュレーションデータや推奨事項提供などの技術サポートを提供いたします。
図面、3Dモデル、PCBフットプリント、テストレポート、製品仕様など、CABLINE®-UX IIコネクタの詳細については、製品ページをご参照ください。https://www.i-pex.com/ja-jp/product/cabline-ux-II
図面、3Dモデル、PCBフットプリント、テストレポート、製品仕様など、CABLINE®-UX IIコネクタの詳細については、製品ページをご参照ください。https://www.i-pex.com/ja-jp/product/cabline-cx-II-with-cover
図面、3Dモデル、PCBフットプリント、テストレポート、製品仕様など、CABLINE®-UX IIコネクタの詳細については、製品ページをご参照ください。https://www.i-pex.com/product/cabline-ua-II
I-PEXの細線同軸・Twinaxコネクタの概要については、このマトリックスで製品群を確認することができます。