細線同軸ケーブルハーネスの特長
同軸ケーブルの構造
ケーブルの中心に「中心導体」があり、その周囲を「絶縁体」「外部導体」「ジャケット」で覆うことで、ケーブルの断面が軸を同じくした円筒で多重構造を持った形状のようになっているケーブルを同軸ケーブルと言います。
細線同軸ケーブル / 極細同軸ケーブルとは
同軸ケーブルの中でも、ノートPCや折り畳みスマホ、医療機器などの高性能小型機器に使用されるようなケーブルは非常に小さく、一般的にケーブル外径(O.D.)が1mm程度以下の同軸ケーブルを「細線(さいせん)同軸ケーブル」(または極細同軸ケーブル)と呼んでいます。
高い柔軟性
細線同軸ケーブルが利用される理由の一つに、Shield FPC/FFCと比較して柔軟性が高く、ある程度折り曲げた状態でも電気特性を安定させることができるという機械的優位性があげられます。
優れたインピーダンスコントロール性
高速伝送信号が配線を伝わる時、インピーダンス(交流回路の電圧と電流の比)が変化する場所で電気信号が反射するため、伝送信号品質の乱れを抑えるためには、可能な限りインピーダンスを一定にする必要があります。同軸ケーブルは中心導体と外部シールドの距離、または絶縁体の材質などを調整することによりインピーダンスを適切にコントロールすることができます。
優れたシールド性
同軸ケーブルは中心導体を覆う外部導体が電磁シールドの役割を果たすため、中心導体に伝送された電気信号から外部への電磁ノイズ漏出を抑制する電磁干渉(EMI:Electromagnetic Interference)対策に優れているとともに、外部から到来する電磁ノイズの影響を受けにくい電磁感受性(EMS:Electromagnetic Susceptibility)対策に優れているという特長をもっています。
細線同軸コネクタハーネスの加工工程
コネクタを用いて細線同軸ケーブルを結線することで、細く、柔軟で、電気特性に優れた細線同軸コネクタハーネスを作成することが可能になります。
優れたEMC対策
I-PEXのEMC対策コネクタ(ZenShield®)を使用して作成した細線同軸コネクタハーネスはEMIを大幅に軽減できることから、特にイントラシステムEMC問題の対策が求められている無線通信機能を搭載した高機能電子機器などではZenShield® コネクタシリーズが使用されています。
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高い柔軟性を活かした製品組立
細線同軸コネクタハーネスは柔軟なケーブルの特長を活かし、ヒンジ部などの可動部を持つディバイスや、狭く複雑な構造で組立時の配線取り回しが難しいディバイスなど様々なアプリケーションに使用されています。
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様々なアプリケーション例
細線同軸ケーブルアセンブリは高速信号を伝送できると同時に、高い柔軟性とシールド性能を兼ね備えています。
柔軟な細線同軸コネクタハーネスの特長を活かしたアプリケーション例をご紹介します。