ウェビナー: コネクタによる電磁ノイズ対策
機器の内部や外部で発生する電磁波が電子機器内の回路にノイズとして干渉すると、回路に不要な電流が誘導され機器が誤作動を起こしたり、高性能な電子部品がダメージを受け故障の原因になったりする場合があります。そのため、特に電子部品が高密度で実装される高性能な小型電子機器では、電磁ノイズに対して、有効な対策を行う必要があります。
電磁ノイズの干渉伝導経路には、導体伝導型と空間放射型の2種類があります。
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機器内のケーブルや基板トレースなどの導体を伝送する「導体伝導型の電磁ノイズ」に対しては、電磁ノイズフィルター部品などを適切に回路に組み込むことで、干渉ノイズを分離・調整することができます。
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一方、空間に電磁波がノイズとして放射されて別の回路に伝導する「空間放射型の電磁ノイズ」に対しては、シールドを使用してノイズの空間伝導を空中で遮断する対策が必要です。
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しかし、モジュールを繋ぐ内部コネクタ部を含め、基板回路をシールドで覆ってしまうと、機器の修理を要する際など必要時にコネクタの嵌合を外すことが難しくなる場合があります。このような場合、EMC対策コネクタと呼ばれるコネクタ自体で電磁ノイズ対策に対応したコネクタを用いることで、コネクタの挿抜機能を犠牲にすることなくコネクタ部のEMC対策を行うことができます。
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ZenShield® コネクタ
I-PEXの優れたEMC対策コネクタであるZenShield®コネクタシリーズでは、細線同軸コネクタ、小型RFコネクタ、基板対基板FPCコネクタ、FPC/FFCコネクタなど、用途に合わせて様々な種類のEMC対策コネクタをご用意しています。
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ZenShield®コネクタシリーズは、コネクタの信号端子の基板実装部から放射される電磁ノイズも360度防ぐEMCシールド性を持たせています。また、プラグとレセプタクル両方のシールド同士がコネクタ嵌合時に多点で適切にグランド接続し、かつ基板にも多点で適切にグランディングさせていることでコネクタのメタルシールドに発生した電流の逃げ道を十分に確保した設計のため、外部の電磁ノイズからコネクタ内の信号を保護し、コネクタ内の信号から外部に電磁ノイズを放射することを防ぎます。
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こちらは、細線同軸コネクタを用いて、一般的な部分シールドコネクタとEMC対策コネクタを比較した電磁障害(EMI)シミュレーションです。左の図は一般的な部分シールドコネクタ、右の図は優れたEMC対策設計を持つZenShield®シリーズコネクタである、CABLINE®-CA IIのシミュレーション結果のコネクタ断面図です。
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水色で表されているのがシグナルコンタクトからのエミッションです。左の図ではシールドから露出しているコンタクトテール部などから、エミッションが外に広がっています。
一方、右の図では、シグナルコンタクトからのエミッションはコネクタのシールド内に限定され、コネクタの外側ではエミッションがほとんど見られないほど減少しています。
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このような設計によりコネクタ自体がEMIを大幅に軽減できることから、ZenShield®は特にイントラシステムEMC問題の対策が求められている無線通信機能を搭載した高機能電子機器でも、アンテナの近くにコネクタを配置するなど自由な基板設計が可能になります。