ZenShield®:高性能EMC対策コネクタ

ZenShield

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ZenShield® とは、I-PEXの小型コネクタ製品における優れたEMC対策コネクタシリーズの設計デザイン名称です。

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近年は大容量記録ディバイスの使用や高速インターネット環境が整い、PCやタブレット、スマートフォンなどの身近なコンシューマ製品端末で高画質な画像や映像などを手軽に楽しめるようになりました。それに伴い、機器内で処理が必要な情報量が飛躍的に増加し、機器内の信号速度(伝送規格)も年々高速化しています。

しかしこの様な電子機器では、機器内に高密度で実装されたさまざまな電子部品や信号伝送回路から発生する電磁波がノイズとして通信回路に加わり、無線通信性能を低下させる原因になる場合もあります。電子機器内部の回路や電子部品から発生する電磁ノイズが同じ機器内の他の部分に障害を発生させる問題はイントラシステムEMC問題と呼ばれ、特に高性能な電子部品が高密度で実装される小型電子製品の開発者にとっては大きな悩みの種となっています。このような箇所にコネクタが必要な場合、EMC対策コネクタと呼ばれるコネクタ自体で電磁ノイズ対策ができるコネクタが必要になります。

ZenShield® コネクタシリーズでは優れたEMC対策を行うため、コネクタ自体のシールドでPlugとReceptacle全ての信号端子をコンタクト接点だけでなく、信号端子の基板実装部分(コンタクトテール部分)から放射される電磁ノイズも360度防ぐEMCシールド性を持たせながら、コネクタ本来の目的であるPlugの挿抜機能を犠牲にしない構造設計を行っています。また、PlugとReceptacle両方のシールド同士がコネクタ嵌合時に多点で適切にグランド接続されていること、かつ基板にも多点で適切にグランディングさせていることでコネクタのメタルシールドに発生した電流の逃げ道を十分に確保した設計のためシールドからの電磁ノイズの2次放射を抑える構造となっています。

 

I-PEXのZenShield® コネクタシリーズの特長:


  1. 信号端子の接点部だけでなく基板実装部(コンタクトSMT部)まで全体がコネクタシールドで覆われている
  2. PlugとReceptacleのシールド同士が多点で適切にグランド接続されている
  3. コネクタシールドが基板(FPCコネクタの場合はFPC)にも多点で適切にグランディングされている
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これらの設計機能により、コネクタ自体がEMIを大幅に軽減できることからZenShield® は特にイントラシステムEMC問題の対策が求められている無線通信機能を搭載した高機能電子機器でも、アンテナの近くにコネクタを配置するなど自由な基板設計が可能になります。

ZenShield

 

 

ZenShield® コネクタシリーズ:


さまざまな用途、設計条件に合わせてI-PEXでは多数のEMC対策コネクタを取り揃えております。

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細線同軸コネクタ:
CABLINE®-CA II / CA II PLUS(0.4 mmピッチ、水平嵌合タイプ、メカニカルロック機能)
CABLINE®-VS II (0.5 mmピッチ、水平嵌合タイプ、メカニカルロック機能)
CABLINE®-UM (0.4 mmピッチ, 縦嵌合タイプ、オートロック機能)

RF コネクタ:
MHF® 7S (フットパターン2.0 x 2.0 mm、対応周波数15GHz)

基板対基板(FPC)コネクタ:
NOVASTACK® 35-HDP(高速伝送対応(20+ Gbps/lane)フルシールド構造 電源端子付き、0.35 mm ピッチ、嵌合高さ 0.7 mm)
NOVASTACK® 35-HDN(5G ミリ波アンテナモジュール、5G機器に最適、フルシールド省スペースデザイン、 コルソン材のコンタクトにより電源供給可能、0.35 mm ピッチ、嵌合高さ 0.7 mm)
NOVASTACK® 35-HDH(嵌合高さ 1.5 mm、 0.35 mm ピッチ、フルシールド、 高速伝送対応20GHz (≒40 Gbps)/lane)

FPC/FFC コネクタ:
EVAFLEX® 5-HD(0.5 mmピッチ、オートロック機能)
CABLINE®-CA IIF(0.4 mmピッチ、メカニカルロック機能)
CABLINE®-VS IIF(0.5 mmピッチ、メカニカルロック機能)

 

 

関連用語:

EMC対策コネクタ:
ZenShield®コネクタシリーズは、「外部からの電磁ノイズを遮断」し、「コネクタ内部に伝送されている高速信号の品質を守る」ことができる電磁感受性(EMS:Electromagnetic Susceptibility)対策に優れたコネクタであるとともに、中心導体に伝送された電気信号から外部への電磁ノイズ漏出を抑制する電磁干渉(EMI:Electromagnetic Interference)対策にも優れ、「コネクタ周辺の実装部品との調和」に貢献にするという特長があります。これらの電磁感受性(EMS)と電磁干渉(EMI)の両方の能力を合わせて「電磁両立性(EMC:Electromagnetic Compatibility)」と表現します。
I-PEXのZenShield®シリーズコネクタは、このEMC対策に優れた効果を発揮するコネクタ製品シリーズです。

EMC

 

電磁干渉(EMI):
電磁干渉の伝導経路には、空間放射型と導体伝導型の2種類があります。

  • 空間放射型の電磁干渉は、ケーブルやPCBトレースなどの回路を伝わる信号が電磁界を生成して発生し、隣接する別の回路に不要な電流が誘導される現象を指します。このような放射型の電磁干渉を防ぐにはシールドが有効で、シールド性を持つ筺体を使用したりシールドで対象基板回路を覆ったり、シールドケーブルまたはシールドコネクタを使用するなどしてノイズの空間伝導を空中で遮断する対策を行います。
  • 導体伝導型の電磁干渉は、回路内の信号がノイズとしてケーブルやPCBトレースなどの導体を伝導することによって移動し、移動した先のディバイスの適切な動作を妨害する現象を指します。電力線も伝導干渉が発生する可能性のある場所の1つです。この場合、電磁ノイズフィルター、コンデンサネットワークなどを適切に回路に組み込むなどして、回路に含まれる干渉ノイズを分離したり調整したりします。
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