FrSky Electronicに採用されているI-PEXのMHF® 小型RFコネクタ
FrSkyは、ラジコン飛行機やドローンのリモートコントロールなどの電子製品、およびインテリジェント制御システムなどのソフトウェアの研究開発、製造、販売を行っている会社です。主な製品ラインには、無線用電波送信機、受信機、モジュール、フライトコントローラー、センサ、および関連のソフトウェアなどがあります。I-PEXの MHF® I やMHF® 4小型RFコネクタは、FrSkyで製造されているほぼすべての無線用送受信機で使用されています。
今回、I-PEXは、FrSkyのXie氏 (R&Dエンジニア)、Yang氏(購買マネージャー)、Shen氏(製品エンジニア)、Wei氏(生産ラインマネージャー)にインタビューを行い、これまでのFrSkyとI-PEXの協力関係やFrSkyがなぜI-PEX製品を採用しているのかなどについてお話を伺いました。
- まずは、FrSkyの主な製品、アプリケーション、ユーザーについて簡単にご説明いただけますでしょうか?
Yang氏:FrSkyの主な製品には、送信機、受信機、モジュール、フライトコントローラー、VTX、ESCが含まれます。また、ラジコン飛行機、サーボ、その他のアクセサリーも製造しています。主なアプリケーションには、一般ユーザー向けFPV機器(First Person View:一人称視点を用いた遠隔操縦機器)、模型飛行機、および産業用向けのデジタル動画制御、航空機牽引リモートコントロール、ドローン測量船、農業プラント保護などのアプリケーションが含まれます。
現在、当社の製品は世界中で使用されており、主なユーザーはプロのドローンプレーヤーと競技プレーヤーです。
- 模型飛行機用の標準リモコンがあるなかで、FrSkyの別のリモコンが必要なのはなぜですか?
Xie氏:脳が人間にとって重要であるのと同じように、リモコンは模型飛行機にとって重要だと考えています。リモコンは送信モジュールと受信モジュールで構成されており、送信モジュールが指示を電子信号として送信し、受信モジュールはそれを受信することで指示が伝わります。一般に、市場では、模型飛行機の機能がおもちゃの飛行機のように比較的単純な場合、ユーザーは付属のオリジナルの送信機を使用します。しかし、プロ用のドローンメーカーは基本的に主要なプレーヤーと協力して受信機を航空機に直接組み込みます。通信プロトコル規格は送信機と受信機の双方に対応する必要があるため、ユーザーが受信機のブランドを決定したら、同じブランドの送信機を使用する必要があります。市場におけるFrSkyのブランド認知度は非常に有利であり、大きな市場シェアを獲得しています。
FrSkyは、ACCST / ACCESSなどの通信プロトコル規格を独自に定義しています。 そのため、FrSkyの通信プロトコル規格と互換性を持たせたい場合、FrSkyによる承認が必要です。 また、FrSkyは知的財産権を尊重およびサポートし、独自の知的財産権を所有する他社製品と積極的に協力しており、FrSkyにより認定されたサードパーティのアドオン製品は、FrSkyの受信機および送信機と完全に互換性があります。
Shen氏:リモートコントロール機器は、パフォーマンスと機能の違いに応じて多くのカテゴリに分類できます。たとえば、ヘリコプターには優れた安定性と敏感な行動が必要です。もう一つの例はクロッシングマシンで、主に、スピードに焦点を当てた競技レース用と、曲技飛行用の2つのタイプに分けられます。これらの用途では、航空機は複雑な動きが求められます。また、カメラを装備して、一人称視点から空中写真を撮ることもできます。この様な場合、航空機は低遅延で安定した通信を備えていることが求められます。FrSkyのリモコンは、安定性と信頼性の高い通信機能を持ち、ファッショナブルな外観、繊細な感触、滑らかなレバーを備えた、優れたプレーヤーエクスペリエンスを提供しています。ACCESS通信プロトコル規格を無線周波数モジュールの高速デジタルインターフェースと組み合わせて適用することで、デバイスは24チャネルの高速および低遅延伝送を使用できます。
新しいTandemX20シリーズは、カラフルなタッチスクリーン、6軸ジャイロスコープ制御モジュール、およびより直感的で柔軟なEthosオペレーティングシステムを備えており、さらにシンプルで合理化した操作はRCのエンターテインメント性を充実させます。 TANDEM X20シリーズは、デュアルバンド同時使用でのテレメトリと制御のための双方向信号伝送を実現し、4msの低遅延長距離制御性能により、さまざまなアプリケーションに適しています。
- FrSky製品に使用されているI-PEXのMHF®小型RFコネクタについて教えてください
Xie氏:リモコンの送信側では製品の種類により1〜5本のアンテナを使用ており、受信機側では、機体の内外を問わず、1つまたは2つのアンテナが使用されています。各アンテナ用ハーネスには1つのRFコネクタが装備されており、それぞれI-PEXのMHF® I/MHF® 4小型RFコネクタを無線通信の信号伝送経路接続として使用しているため、1セットの送信機と受信機で最大7つのI-PEXのMHF®小型RFコネクタを使用していることになります。当社の製品にはI-PEXのMHF®小型RFコネクタの数が非常に多いため、品質をより適切に管理するためにI-PEXの結線装置も購入しました。
- I-PEXのMHF®製品を採用している理由はなんですか?
Yang氏:私たちの会社は、11年前に設立されて以来、I-PEXのMHF®小型RFコネクタを採用しており、ほぼすべての製品で使用しています。I-PEX製品は非常に精密です。当社の受信機は指の爪ほどのサイズであるため、小さくて信頼性の高いRFコネクタが重要なのです。
Xie氏:当社の製品の設計では、アンテナ位置のスペースが非常に小さいため、ボードに接続するコネクタ領域もできるだけ小さくする必要があります。さらに、コネクタの高さについても厳しい要件があります。採用にあたりI-PEXのMHF®小型RFコネクタを社内評価テストしましたが、すべて正常に合格しました。
Wei氏:MHF®シリーズには、保持力が高く、サイズが小さいロック付きの製品 (MHF® I LK / MHF® 4L LK) があることも知っています。これらのロック付き製品は、コネクタの脱落を防ぐための接着剤塗工程を排除でき、後のメンテナンス作業も容易になるため私たちの様なアプリケーションに非常に適していると思います。将来的には、これらのロック付きのコネクタ製品(MHF® I LK / MHF® 4L LK)の採用も検討しています。
- 最後に、模型飛行機業界の動向について教えてください
Xie氏:現在の模型飛行機のリモコンは制御信号伝送のみですが、今後は画像伝送機能を徐々に改良していきます。それにより、たとえば、短い動画の表示、防火システム、監視システムへの応用など多くのことを実行できるようになります。模型飛行機用途はスポーツや娯楽だけにとどまらず、極限環境のビデオ撮影、測量、害虫駆除、救助などへの応用でも活躍することが期待されています。
将来的には、模型飛行機マシン全体の形状要件も高くなることが予想されているため、FrSkyは、将来的にブランドを充実させ、さまざまな模型飛行機の開発も検討する予定です。リモコンはますますハイエンドになり、携帯電話のいくつかの機能の統合も検討しています。ネットワークの相互接続を実現するためにWi-Fiモジュールの導入も徐々に行われる予定です。
Shen氏:現在、動画を共有する必要がある場合は、SDカードを取り出してファイルをコピーする必要があります。将来的には、携帯電話のようにワンクリックで動画を共有したり、Androidシステムを実行したりできるソフトウェアがリモコンに搭載される予定です。また、ソーシャルネットワーキングソフトウェアやエンターテインメントソフトウェアのインストールなど、他のアプリケーションもサポートできるようになると思います。