コネクタのロック機能
現在では高性能な電子機器を持ち運ぶことは珍しいことではなくなりました。しかし、機器を持ち運ぶ機会が増えれば、機器に継続的な振動が加わったり、誤って機器を手元から落下させてしまうリスクも高くなります。また、電子機器製品の組立工程内での部品やモジュールのハンドリングによりコネクタの嵌合が外れてしまうと、無駄な作業が発生してしまう場合もあります。
ロック機能を持つコネクタは嵌合保持力を強化することが可能なため、意図しない嵌合外れを防ぐことに役立ちます。コネクタには様々な種類のロック方法があります。
Contents :
1) CABLINE®シリーズのロック機能
- 嵌合保持力データ
- ロック機能付きCABLINE®細線線同軸コネクタのラインナップ
- ロック機能付きCABLINE®FPCコネクタのラインナップ
2) MHF®シリーズのロック機能
- 嵌合保持力データ
- ロック機能付きMHF®シリーズのラインナップ
3) EVAFLEX®シリーズのロック機能
- FPC保持力データ
- EVAFLEX®コネクタのラインナップ(オートロック機能付き)
4) MINIFLEX®シリーズのロック機能
- FPC保持力データ
- ロック機能付きMINIFLEX®シリーズのラインナップ
1) CABLINE®シリーズのロック機能
細線同軸ケーブルコネクタCABLINE®シリーズにもロック機能が搭載されています。
例えば、CABLINE®-VS II(0.5 mm ピッチ、水平嵌合タイプの細線同軸コネクタ)などの水平嵌合コネクタの場合、嵌合作業の手順として、レセプタクルにプラグを挿入し、ロックカバーを回転させ嵌合完了となります。非常にシンプルな構造となっており、嵌合作業性が容易で、ロックカバーを閉めた時の手に感じるクリック感もあるため、嵌合状態の確認が容易です。また、プラグが完全に嵌合されなければロックがかからない構造となっているため、嵌合不良を防止する役割もあります。
嵌合保持力データ
例えば、CABLINE®-VS II 30芯コネクタの場合、ロック状態ではロック未装着状態に比べ約8倍の嵌合保持力があります。
また、CABLINE®シリーズの中には低背垂直嵌合コネクタでありながら独自のロックカバー構造により、オートロック機能を備えた、CABLINE®-UMもあります。
ロック機能付きCABLINE®細線同軸コネクタのラインナップ
製品名 | 主な特長 |
---|---|
CABLINE®-VS II | 0.5 mm ピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-VS | 0.5 mm ピッチ、水平嵌合 |
CABLINE®-CA II | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-CA II PLUS | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-CA | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合 |
CABLINE®-CAL | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合、超低背(0.8 mm max) |
CABLINE®-UM | 0.4 mm ピッチ、垂直嵌合、オートロック、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-CX II | 0.25 mm ピッチ、水平嵌合 |
CABLINE®シリーズコネクタの中には細線同軸ケーブル接続だけでなく、FPC端末も接続可能なシリーズ展開もあるためFPC接続を選択することも可能です。
ロック機能付きCABLINE®FPCコネクタのラインナップ
製品名 | 主な特長 |
---|---|
CABLINE®-VS IIF | 0.5 mm ピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-VSF | 0.5 mm ピッチ、水平嵌合 |
CABLINE®-CA IIF | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 |
CABLINE®-CAF | 0.4 mm ピッチ、水平嵌合 |
2) MHF®シリーズのロック機能
小型RFコネクタMHF®シリーズは、高速通信を可能にする幅広い周波数帯域に対応しており、機器の高密度設計や小型化に最適で、ロック機能を搭載したLKタイプがあります。LKタイプは組立時にロックをスライドさせることで簡単にロックをかけられる構造を持ち、コネクタの嵌合保持力強化を可能にするため、機器内のアンテナモジュールの接続の振動、衝撃対策にも効果を発揮します。
嵌合保持力データ
例えば、メカニカルロック時のMHF® I LKの場合、追加のメカニカルロック機能を持たない一般的なフリクションロックタイプの小型RFコネクタMHF® Iコネクタと比べ、約2倍の嵌合保持力があります。またメカニカルロックを解除した状態でMHF® I LKの挿抜を30回の行った後、メカニカルロックをした場合の嵌合保持力はMHF® Iコネクタの約3倍という結果がでています。このような高い保持力により、MHF® I LKは、小型にも関わらず衝撃と振動を与えられても高い信号の接続信頼性を確保することが可能になっています。
ロック機能付きMHF®シリーズのラインナップ
製品名 | 主な特長 | 同軸ケーブル対応サイズ |
---|---|---|
MHF® I LK | 対応周波数帯域: Up to 9 GHz | AWG#30 (O.D. 1.80 mm & 1.37 mm) AWG#32 (O.D. 1.32 mm & 1.13 mm) AWG#36 (O.D. 0.81 mm) |
MHF® 4L LK | 対応周波数帯域: Up to 12 GHz | AWG#30 (O.D. 1.37 mm) |
MHF®-TI | 90N min.の高嵌合保持力 | AWG#24 (O.D. 3.00 mm) AWG#26 (O.D. 2.80 mm) |
3) EVAFLEX®シリーズのロック機能
FPC/FFCコネクタのEVAFLEX®シリーズには、オートロック機能が備わっています。オートロックはワンアクションで嵌合とロックが完了するため、製造工程の生産性を高め、工程自動化にも貢献します。
EVAFLEX®シリーズコネクタの中に「バネ性」や「誘い込み形状」を持つロックピンがあり、先端に専用の「切り欠き」を持つFPC/FFCを挿入することで、挿入完了位置にて「カチッ」という音と感触とともに、切り欠きにロックがかかる仕組みになっています。ロック解除操作をすることによりロックが外れる仕組みのため、振動や衝撃などによるFPC/FFCの脱落防止に役立ちます。
FPC保持力データ
例えば、EVAFLEX® 5-HD(0.5 mm ピッチ水平嵌合タイプ)24芯コネクタの場合、ロック状態ではロック未装着状態に比べ約3倍のFPC保持力があります。
EVAFLEX®コネクタのラインナップ(オートロック機能付き)
製品名 | 主な特長 | |
---|---|---|
EVAFLEX® 5-HD | 0.5 mmピッチ、水平嵌合、ZenShield® EMC対策 | |
EVAFLEX® 5-SE-G HT | 0.5 mmピッチ、水平嵌合、グラウンド付き |
FPC/FFC |
EVAFLEX® 5-SE-G VT | 0.5 mmピッチ、垂直嵌合、グラウンド付き | |
EVAFLEX® 5-SE | 0.5 mmピッチ、水平嵌合 | FPC/FFC 共通設計 |
EVAFLEX® 5-SE VT | 0.5 mmピッチ、垂直嵌合 | |
EVAFLEX® 5-VS | 0.5 mmピッチ、水平嵌合、CABLINE®-VSとフットプリント互換 | |
EVAFLEX® 5 | 0.5 mmピッチ、TVパネル業界標準フットプリント互換、高速伝送対応(8 Gbps) |
4) MINIFLEX®シリーズのロック機能
一般にZIFまたはLIFタイプと呼ばれるFPC/FFCコネクタのMINIFLEX®にも、メカニカルロックオプションを持つLKタイプがあります。先端に専用の「切り欠き」を持つFPC/FFCを挿入し、アクチュエーターを操作することでFPC/FFCの切り欠きにロックがかかる仕組みになっており、より高いFPC保持力を必要とするアプリケーションや、芯数が少なくFPC保持力が必要な場合に最適です。
FPC保持力データ
例えば、MINIFLEX® 3-BFNシリーズ(0.3 mmピッチ、水平嵌合)19芯コネクタの場合、ロック有り(LKタイプ)はロック無しタイプに比べ約1.7倍のFPC保持力があります。
ロック機能付きMINIFLEX®シリーズのラインナップ
製品名 | 主な特長 |
---|---|
MINIFLEX® 175-ST | 0.175 mmピッチ、超低背(0.52 mm) |
MINIFLEX® 3-BFN LK | 0.3 mmピッチ |
MINIFLEX® 3-BFN L-LK-HD | 0.3 mmピッチ、堅牢タイプ |
MINIFLEX® 4-ST | 0.4 mmピッチ、超低背(0.50 mm) |
MINIFLEX® 5-BFN II LK | 0.5 mmピッチ、高温対応(125℃) |
DW-5 | 0.5 mmピッチ、FPC&ディスクリートワイヤのハイブリット仕様 |