超音波プローブハーネスに最適なコネクタ

医療用電子機器には、ケーブルコネクタを必要とするアプリケーションが多数存在します。コネクタ及びケーブルは、防水性、耐衝撃性、耐久性、防塵性を備え、優れた高周波特性、EMI特性を要求されると同時に、高い接続信頼性が求められます。医療機器は長期に渡る製品寿命の間、常に安定して継続的な機能を果たす必要があり、当然、それに使用されるコネクタには、数千回の嵌合サイクルに及ぶ想定環境下での日常使用で、損傷・劣化に耐え得る十分な耐久性が求められます。さらに、部品サプライヤー各社は、医療機器に記載された耐用期間に準じた、対象部品の供給体制を維持する義務が生じます。したがって、コネクタを供給するメーカーを選ぶ際は、医療電子機器産業での十分な経験と納入実績があり、高嵌合サイクルから高耐湿性にいたるまで多様なアプリケーションの要求を満たすことができる豊富な提案が可能である事が条件となります。

Ultrasound Equipment 600x600

数ある医療機器の中で、ケーブルとコネクタが活用されるアプリケーションとして超音波診断装置が挙げられます。ケーブル付き超音波プローブの重量軽減、小型化とケーブルの柔軟性を実現する為に、AWG #42-36の細線同軸線が一般的に活用されています。インピーダンス整合された細線同軸電線は、EMIと隣接信号間混信を防ぐ為にシールド構造である為、先端の超音波プローブにて受信された、微弱信号(1Vp-p以下)を本体まで正確に伝送する事で、鮮明な画像表示を可能にします。一本のケーブル付き超音波プローブには、192本以上の細線同軸電線が組み込まれる場合もあり、これだけの多芯電線を一本のハーネスに加工・量産する為には、設計上の工夫が必要です。

ソリューションとしては、ケーブルをパドルカード(中継基板)に半田付けし、パドルカードに実装された基板対基板コネクタで接続する方法と、電線に結線されたコネクタで直接接続する方法があります。パドルカードとは、電線の半田付け結線を目的に設計された小型の中継基板ですが、通常、基板対基板コネクタ等が中継基板の反対側に実装され、電線とコネクタを中継する役目を担います。

もう一つのコネクタで直接の接続を行う場合、電線を直接結線することで、中継基板を必要としません。例えば、細線同軸コネクタを採用した場合、特殊なモジュール構造により、中継基板を介さない直接の接続に対応しているだけでなく、プローブアセンブリーを着脱可能な細かな部品に分ける事ができる為、製造組み立て時のみならず、リワークやリペア工程においても、作業時間を最小限に押さえ、総コスト削減を実現できます。

超音波プローブの内部接続コネクタは、複数の小芯数コネクタで構成する事が可能ですが、本体側との接続に使用.れるI/O側には、多信号向けとして、単体の多芯数コネクタが要求されます。一般的には、多芯数コネクタは、挿入力の増加を伴います。医療現場では、従事者が迅速で容易にケーブル付き超音波プローブを別のものに交換する必要があります。その為、多芯数コネクタを低挿入力設計にする事で交換を容易にし、医療機器の操作性向上に貢献できます。

CABLINE-CA II 600x600細線同軸コネクタ CABLINE®-CA II は、0.4 ㎜の狭ピッチ、低背嵌合高さ 1 ㎜(±0.1 mm)、360度シールド、多点グラウンド設計、そして堅牢なロック付きカバーを備えており、高度なシグナルインテグリティ設計により20 Gbps/lane 伝送が可能です。超音波プローブの内部接続のような高速伝送用途に最適なソリューションです。

 

代表的な超音波センサーとして、 フレキシブル基板に実装されたピエゾ圧電素子(PZT)が上げられます。圧電効果を応用したピエゾ圧電素子への駆動入力/受信出力信号は、 フレキシブル基板経由で細線同軸電線に接続されます。なぜ、小型の細線同軸電線コネクタが使用されるのでしょうか?超音波プローブと細線同軸電線アセンブリを個別に供給することで、最終組立工程を、簡素化された2部品組立での運用ができます。尚、超音波検査機器本体との接続側には、異なるタイプのコネクタを超音波プローブ側と類似手法で結線可能です。代替え手法として、中継基板に細線同軸電線と基盤コネクタを半田付けにて実装します。更に信頼性を高める為に、オーバーモールドと抜け防止の機構を追加可能です。

MINIDOCKI/Oコネクタである、MINIDOCK®シリーズは、超音波プローブと本体との嵌合用途として、手荒な挿入抜去作業下でも求められる高耐久性と低挿入力を実現しています。製品特徴として、堅牢なダイキャストボディに、挿入作業を容易にする、十分な開口寸法とガイド性を備えた構造、オプションとして耐湿シーリングと最高20,000嵌合サイクルに対応しています。

 

超音波装置の設計者には、様々なコネクタの選択肢がありますが、堅牢さ、使い易さ、信頼性、高度なシグナルインテグリティ設計、高嵌合サイクルは必須要件です。個別アプリケーション要求に合う最適な選択をするには、製品性能と量産生産性の両立が重要です。