細線同軸/Twinaxコネクタ
I-PEXの細線同軸およびディスクリートケーブル用コネクタは、ディスプレイやカメラ モジュール、サーバーなどの接続に最適です。
目次 :
同軸ケーブルとは?
細線同軸コネクタとは?
細線同軸コネクタとは?
細線同軸ケーブルを使用したプラグハーネス加工工程
ケーブルサブアッセンブリの種類
細線同軸ケーブルが高速信号伝送接続に採用されている理由
細線同軸ケーブルの特長と用途
細線同軸ケーブルの伝送優位性
細線同軸ケーブルの機械的優位性
I-PEXの細線同軸コネクタが広く採用されている理由
I-PEX 細線同軸コネクタの特長
I-PEX シールドコネクタの特長
同軸ケーブルとは?
1) ケーブルの基本構造
電気を通す「導体」とそれを覆う被覆「ジャケット」のシンプルな構造を持つケーブルをディスクリートケーブルと呼ぶのに対し、ケーブルの中心に「中心導体」があり、その周囲を「絶縁体」「外部導体」「ジャケット」で覆うことで、ケーブルの断面が軸を同じくした円筒で多重構造を持った形状のようになっているケーブルを同軸ケーブルと呼んでいます。
同軸ケーブルは中心導体を覆う外部導体が電磁シールドの役割を果たすため、中心導体に伝送された電気信号が外部から到来する電磁波(電磁ノイズ)の影響を受けにくいという特長をもっています。
2) 細線同軸ケーブル(極細同軸ケーブル)とは?
細線(さいせん)同軸ケーブル(または極細同軸ケーブル)とは一般的にケーブル外径(O.D.)が1mm程度以下の同軸ケーブルを指し、PCやタブレット、スマートフォンなどの身近な小型モバイル機器だけでなく医療、産業、自動車、航空等に使用される精密機器内部のモジュール基板間信号接続として広く使用されています。
同軸ケーブルの場合、中心導体サイズをAWG規格(American Wire Gauge)で表しAWG数字が大きいほど細い中心導体線が使用されている事を表しています。
細線同軸コネクタとは?
1) 細線同軸コネクタ(極細同軸ケーブル用コネクタ)とは?
細線同軸コネクタ(または極細同軸ケーブル用コネクタ)は細線同軸ケーブルを使用して主に基板間のデジタル信号を差動伝送方式で接続する際に使用されます。
細線同軸ケーブルを使用して適切な伝送を行うためには、信号を伝送する中心導体はコネクタの端子(Contact)を経由して基板上の信号回路に、外部導体はコネクタの金属構造部品(Shell)を経由して基板上のグランドに電気的に接続させる必要があります。
また、外部導体がコネクタのShellを経由して電気的に基板上に接続する事を「グランド接続(Grounding)」と表現します。
2) 細線同軸ケーブルを使用したプラグハーネス加工工程
プラグハーネス加工の主な工程:
- ケーブルサブアッセンブリを用意
- ケーブルサブアッセンブリをPlug Housing Assembly部品にセットし露出した導体をPlug信号端子に半田付け
- Lock Bar Assembly(またはLock Bar)をPlug Housing Assembly部品にセット
- Plug Shellを被せ必要個所を半田付けしするとプラグハーネスが完成
まず、コネクタにケーブルを結線する前にケーブルを一括結線しやすいよう加工する必要があります。
この前加工を行う事でコネクタへの結線工程が簡素化される上、品質の安定性も向上致します。
前加工したケーブル状態を”ケーブルサブアッセンブリ(Cable Sub-Assembly)”と呼びます。
「ケーブルの外部導体」を「コネクタのShell」に接続させる事で、ケーブルの外部導体がコネクタを通して基板まで電気的に接続されるため良好なGround特性を得ることができます。
3) ケーブルサブアッセンブリの種類
ハーネスメーカーにもよりますが、一般的には細線同軸ケーブルのケーブルサブアッセンブリには下記の種類があります。
オール細線同軸ケーブルタイプ:
細線同軸ケーブルのみを結線させたもの。サイズは限定されますが異なるケーブル径でも作製が可能。
細線同軸/ディスクリートケーブル混合結線タイプ:
電気信号の伝送以外に電源供給用としてディスクリートケーブルも一緒に結線させたもの。
グランドフィンガータイプ:
グランドバーに形成されたフィンガー(突起)をコネクタの端子に直接接続させたもの。
使用ケーブル本数の削減の他、ハーネスの電気特性性能の向上が期待できる結線方法。
細線同軸ケーブルが高速信号伝送接続に採用されている理由
1) 細線同軸ケーブルの特長と用途
近年は大容量記録ディバイスの使用や高速インターネット環境が整い、高画質画像や映像などをPCやタブレット、スマートフォンなどの身近なコンシューマ製品端末で手軽に楽しめるようになりました。それに伴い、機器内で処理が必要な情報量が飛躍的に増加し、機器内の信号速度(伝送規格)もどんどん高速化しています。
機器内のモジュール基板間で信号や電力をやり取りする場合、一般的にはケーブルやFPC/FFCを使用して接続(ジャンパー接続)します。そして、「信号の速度(伝送規格)」や「伝送する距離」によって、ある程度対応可能なケーブルやFPC/FFCの種類が決まります。一般的に高速・長距離の伝送には同軸ケーブル(*注)が適しているとされています。
(*注:同軸ケーブルにはTwinax Cable も含んで表現しています。)
近年の機器内の信号速度が高速化に伴い、機器内のジャンパー接続方法として細線同軸ケーブルが採用される場合が増えています。
2) 細線同軸ケーブルの伝送優位性
信号の伝送特性には特性インピーダンス、インサーションロス、リターンロス、クロストークなど様々なパラメータが影響しますが、ここでは高速伝送を行う場合、一般的に細線同軸ケーブルに高い伝送優位性があるとされる主な理由をご紹介します。
- リターンロスの低減:
中心導体、誘電体、外部導体で構成される細線同軸ケーブルは特定のインピーダンスにマッチングさせる事が可能で、リターンロスを低減させる事ができます。
- インサーションロスの低減:
特定のインピーダンスにマッチングさせる際、細線同軸ケーブルはFPCやFFCと比べ中心導体の断面積を大きく確保できることからインサーションロスを低減させる事に繋がります。
- 高いシールド性による電磁ノイズ対策とクロストークの低減:
外部導体はそれ自身がシールド効果をもっているため、中心導体で伝送している信号からの電磁ノイズ発生を抑えると共に、伝送している信号を外部からの電磁ノイズから守る役割を果たします。また、外部導体のシールド効果は信号ライン間のクロストークを低減させることにも役立っています。
3) 細線同軸ケーブルの機械的優位性
細線同軸ケーブルが選ばれる理由の一つに、Shield FPC/FFCと比較して屈曲性が高く、ある程度折り曲げた状態でも電気特性を安定させることができるという機械的優位性もあります。
ヒンジ等の何度も屈曲を繰り返す可動部を通した接続や、組立時に複雑なケーブルの引き回しが必要な製品などに細線同軸ケーブルでの接続が多く採用されています。(例えばノートパソコンの開閉部や、ドローンのカメラ可動部の接続など。)
最近は可動カメラやディスプレイパネルが搭載される機器も多くなってきている上、映像の信号伝送速度も早くなっているため、高速伝送特性と機械的メリット両方を兼ね備えた細線同軸ケーブルがソリューションとして注目されています。
I-PEXの細線同軸コネクタが広く採用されている理由
1) I-PEX細線同軸コネクタの特長
I-PEXは高速伝送に適した細線同軸ケーブル用コネクタのパイオニアであり、豊富な採用実績があります。また、幅広い細線同軸コネクタのラインアップを取り揃えており、用途に合わせて様々なバリエーションをご用意しています。
- I-PEXの細線同軸コネクタはノートパソコンのパネル接続用コネクタとして市場シェア No.1
- CABLINE®-VS Receptacle は 16:9パネルの業界標準コネクタ(VESA スタンダードコネクタ)
記事:細線同軸コネクタのあゆみ
2) I-PEXシールドコネクタの特長
電子機器がより高性能化、省電力化、小型化されるに従い、これらの機器内の信号速度がより高速化し、低電圧で動作する電子部品が増え、実装される電子部品の密度が高くなっています。このような機器に外部から電磁波がノイズとして加わると、機器内の回路に不要な電流が誘導され機器が誤作動を起こしたり、高性能な電子部品がダメージを受け故障の原因になる場合もあります。
また、ノートブックPCやタブレット、携帯電話など無線通信機能を持つ電子機器では、機器内で発生する電磁波がノイズとして通信回路に加わり、受信性能を低下させる原因にもなります。このような場合、一般的には電磁ノイズフィルター部品を回路に組み込んだり、物理的に実装部品を覆うメタルシールドなどで電磁ノイズを遮断したりするなどして、電子機器内部の電磁ノイズ対策を行います。
電子機器が小型化(実装部品の高密度化)、高性能化(信号伝送速度の高速化)するに伴い、機器内のジャンパー接続部分にも電磁ノイズ対策を求められていました。I-PEXはこのような声にお応えし、信号端子の実装部分を含むコネクタ全体をメタルシールドで覆うと共に、適したGrounding構造によりコネクタ自体で電磁ノイズ対策を実現した高性能EMCコネクタ製品シリーズ(ZenShield®)を開発しました。特に無線通信機能を搭載した高機能機器の内部電磁干渉を解決する製品として多くのお客様に採用が広がっています。
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