世界をリードする圧電技術
これまでのDLC成膜で培ったプラズマ制御技術と無機結晶制御技術とを融合させ、合成が極めて難しいとされた様々な圧電素材の単結晶化に成功し製法を確立しました。様々な半導体プロセスに適応でき、既存多結晶材料と比較して著しく高い特性を示します。
目次:
単結晶圧電薄膜の特長
単結晶化技術の最大の特徴は、広いプロセスマージンであり、それを支えるキーテクノロジーが独自のバッファー層です。バッファー層が自ら形状変化することにより、基板と圧電薄膜の結晶格子のズレを補正し、残留応力の少ない単結晶化を実現させています。さらに、高度なプラズマ制御により、同一組成の材料であっても、用途に合わせた特性のチューニングを可能としています。
弊社では、様々な用途に合わせた単結晶圧電薄膜基板(KRYSTAL® Wafer)をご提供しています。
基本的な膜構成で作製された圧電体は、以下の特徴を持ちます。
- シリコン(Si)基板から連続的な単結晶構造を維持し、圧電薄膜の厚さに左右されず、単結晶構造を反映している。
- Cube on Cube構造となり、サイコロが回転せずに重なった結晶構造を持つ。
- ルテニウム酸ストロンチウム(SRO)上の圧電薄膜の結晶欠陥が少なく、サブミクロン(1ミクロン以下)厚でも正常に動作する。
これらの特徴は圧電体として知られるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)だけでなく、チタン酸バリウム(BTO)をはじめ、多くの材料に適応できます。原材料のSi基板は一般的な(100)配向品を標準としていますが、他の配向でも以下の特徴を持ちます。 - Si基板の配向<(110)や(111)>を変えることで、上層の膜配向もそれを引き継ぐことが可能であり、材料に最適な組み合わせを提供できる。
これらのプラットフォームを提供し、お客様にとって最適な組み合わせを提案します。
KRYSTAL® Waferの単結晶PZT薄膜の特長
KRYSTAL® Waferの単結晶圧電薄膜は、一般的な圧電薄膜と比較して電気的、機械的に優れた特性を発揮することが確認されています。
主な特徴:
- 圧電薄膜が単結晶
- 成膜直後での初期分極を保持
- 耐熱性が高く、リフロー温度(450℃)でも脱分極しない
- 多結晶体と比較して、同様の変位量に対し、誘電率が半分以下
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電気的、機械的特性の向上:
単結晶化すると圧電特性方向が揃うため、電気エネルギーと機械エネルギーの変換効率が向上します。
KRYSTAL® Waferの単結晶圧電薄膜は、一般的な多結晶薄膜と比較して、優れたアクチュエーター性能やセンサー性能を発揮。
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信頼性の向上:
単結晶化する事で原子間の結合性が向上し、温度特性、薄膜の信頼性が向上します。
KRYSTAL® Waferの単結晶圧電薄膜は、一般的な多結晶PZT薄膜と比較して約100倍以上の長寿命であることを確認。
- 膜仕様:KRYSTAL PZT薄膜(アクチュエーター仕様 2μm)
- 測定方法:上部電極側に-40VのDC電圧印加を実施
- 破壊判定基準:1μA/φ500μm以上の電流値
KRYSTAL® WaferのPZT薄膜製品タイプ
PZT圧電薄膜KRYSTAL® Waferでは特性の異なる2種類の標準膜を用意しています。
- センサ仕様
高いc軸配向性を持ち、誘電率を140以下まで下げることで歪みによる発生電荷量を向上させています。
圧電効果を用いた使い方にマッチングするように設計しています。
- アクチュエータ仕様
高いd定数と耐電圧、低い誘電率のバランスを取った仕様です。
逆圧電効果を用いた使い方にマッチングするように設計しています。
弊社ではプラズマ制御により膜特性カスタマイズしてご提案することが可能です。これらの標準膜を評価していただいた上でお客様に最適なPZTソリューションを提供します。
単結晶化メカニズム
KRYSTAL® Waferによる単結晶化メカニズムは極めて高いプラットフォーム性をもち、顧客成膜装置での単結晶化の再現も実証しています。